約 1,207,343 件
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/1037.html
【8月11日】 『夏の昆虫の王者』 シフォン「ミーンミンって、なぁに?」 祈里 「シフォンちゃん、ミンミン鳴くのはセミっていうのよ」 タルト 「確か、土の中で七年も過ごして、外に出てたった一週間で死んでまうんやろ?」 シフォン「セミ、かわいそう?」 祈里 「ううん。昆虫の中ではとても長寿だし、最期に華やかな舞台に立つことができるんだもの」 タルト 「まあ、土の中が退屈とは限らんしなあ」 シフォン「シフォン、セミ、好き~」 祈里 「わたしもよ。騒がしいって思うこともあるけど、やっぱりいないと寂しいものね」 【8月12日】 『ウエスターの筋肉占い』 ウエスター「夏だ、海だ、山だ! プールだーっ! 俺も行きたいよ~」 サウラー 「君はいつも行ってるだろう? 館に居る時間の方がよっぽど少ないじゃないか」 ウエスター「うおお~~! 夏の陽差しが俺を呼んでいるぞ~~!」 サウラー 「いいから、さっさと占い部屋に行きたまえ!」 ウエスター「どうした若者よ? 悩みがあるなら話してみろ。解決策を占ってやろう!」 受験生 「最近成績が伸び悩んでいるんです。何から勉強したらいいか占ってもらおうと思って」 ウエスター「うむ、お前は運動不足だ。だから勉強も頭に入らないのだ。これから一緒に海に行くぞ、急げ!」 受験生 「ちょっと! 即答で全然占ってないじゃないですか! うわぁ~、この人本気だ~!!」 【8月13日】 『ドーナツのように』 ミユキ「みんなで踊る盆踊りってだぁーい好き! 浴衣着るのもワクワクするわねぇ」 美希 「トリニティのダンスは激しすぎて、一緒にってわけにはいかないですものね」 せつな「私も浴衣も盆踊りも大好き。輪になって踊るのは、みんなが繋がってるって気がするの」 祈里 「ミユキさんの盆踊り、早く見たいな。ナナさんとレイカさんも一緒なんですよね?」 ミユキ「もちろんよ。クローバーの盆踊りも期待してるからね!」 ラブ 「あはは、あたしたちもバラバラじゃしまらないですよね。みんな、特訓しようよ!」 美祈せ『賛成!!!』 【8月14日】 『夏祭り』 ラブ 「今日は盆踊り大会なんだ。盆踊りのステップもけっこう難しいよね」 美希 「確かに独特のリズムがあるわね。慣れないとつんのめっちゃう」 祈里 「盆踊りに、ステップとかリズムってのもどうかと思う……」 ラブ 「せつなは上手だね」 せつな「私にはダンスと踊りの違いはわからないから。かえって迷わないのかも」 美希 「先入観を捨てて、ダンスとして踊っちゃえばいいわけか。なるほどね」 【8月15日】 『吹き荒れよ、幸せの嵐』 キュアパッション「歌え! 幸せのラプソディ! パッションハープ!!」 ラブ 「ねえ、ラプソディってなにかな?」 美希 「え~とね、フランス語ではrhapsodieと書くらしいわよ」 ラブ 「余計にわからないってば、美希たん……」 祈里 「日本語に訳すと狂詩曲、熱狂的な表現の詩のことね」 ラブ 「やっぱり、パッションの赤は情熱の炎の色なんだね」 せつな「改めて言われると、なんだか恥ずかしいわね」 【8月16日】 『漢なら大胆に食せ』 サウラー 「うわあっ! かき氷を食べるとなんで頭が痛くなるんだ?」 タルト 「アイスクリーム頭痛ゆうて、味覚が混乱するかららしいで」 ウエスター「サウラーは考えすぎだ、無心で食えば平気だ。うおお!」 タルト 「しゃあないなあ、ワイが手本を見したるわ。むおお!」 せつな 「別の意味で頭痛い……」 【8月17日】 『海の贈り物』 せつな「波打ち際で、とっても綺麗な貝殻を拾ったわ」 美希 「時々、信じられないほど遠くに住んでる貝が見つかることもあるのよね」 祈里 「そのままでも綺麗だけど、ちゃんと磨くと宝石みたいに光るのよ」 せつな「ほんと……海の宝石ね」 ラブ 「そうだ、貝殻拾いに行ってアクセサリー作ろうよ!」 美祈せ『賛成!』 【8月18日】 『毒舌と甘言』 ラブ 「うふふ~、今日はプールで思いっきり泳ぐぞー!」 せつな「ラブって運動苦手なクセに、不思議と楽しそうよね」 ラブ 「ひど~い! 水泳はせつなだって苦手なのに楽しそうじゃない」 せつな「私はラブと一緒ならなんだって楽しいもの」 ラブ 「怒っていいのか喜んでいいのか、全然わからないよ……」 【8月19日】 『ひかえめ?』 美希 「今日はプールでクロールの泳ぎを練習するわ!」 せつな「大変ね、美希。私も付き合おうかしら」 美希 「せつな、今のどうだった?」 せつな「グングン、タイムが伸びてるわ。フォームもとてもキレイ」 美希 「せつなもやってみる?」 せつな「そうね、美希がそう言うのなら――――」 美希 (素直に教えてって言えばいいのに……) 【8月20日】 『夏の風物詩』 祈里 「ふふっ、ミンミンゼミとひぐらしとアブラゼミが今日も元気に鳴いてるわ」 美希 「それを声だけで分別できる女子中学生って一体……」 せつな「セミらしい名前の中で、一つだけ情緒のある名のセミがいるのね」 祈里 「夕方の日暮れ時に鳴くから日暮。カナカナとも呼ばれているの」 せつな「涼しい時間帯に寂しそうに鳴くから、好まれた名前が付いたのね」 ラブ 「あたしはミンミンゼミもアブラゼミも好きだよ。元気あったほうが楽しいじゃない!」 新-292へ
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/334.html
お互い真っ赤になって微妙な距離をとりつつ、由美の所に戻る二人。 「ただいまー由美ー」 「あら?」 「二人ともズルいよ~。」 借り物の内容を知って、選ばれなかったことに 落ちこむ由美。 「あはー。ま、まぁ…」 「あ、由美ちゃんもこれからお昼、一緒にどうかしら?」 「いいの…かなぁ~?」 「うん!あたし、いーーーーっぱい作ってきたんだよ!」 出てきたのは立派なお重の箱。すると、タイミング良く観戦に 来ていた美希と祈里も合流する。 「張り切ってたわねーラブ。カッコ良かったわよ。」 「せつなちゃんも楽しそうだった!」 由美も加わり、豪勢な昼食は一層賑やかな雰囲気に。 「ラブってほんと料理上手だね~。」 「照れるじゃんか由美ー。」 「精一杯作ってくれたから、本当に美味しいわ。」 「アタシの家にもラブがいてくれたらなー。」 「うんうん。ラブちゃんの手料理ならわたしも大歓迎!」 (昼間っからイチャイチャしてはる。あかん、この光景シフォンには強すぎや。) 「午後の競技って、ラブちゃんとせつなちゃんが出るアレだよねぇ?」 「そう、ソレ!そのために来た様なもんなんだから!」 「ですよね~。」 (頑張ってね、二人とも...) この日のために、ラブとせつなちゃんは一生懸命練習したんだもんね。 運動音痴なラブは、何とかせつなちゃんにイイ所を見せようと頑張って。 けど、息が合わないってせつなちゃんはアタシに相談に来て。 ほんと真面目なんだから。 結局アタシはせつなちゃんと練習してたけど、実は裏では… 「せつなにコンビ解消だって言われたぁー。もうガックシだよぉ……」 「よしよし。まだ諦めちゃダメだよ?ラブちゃん。」 「やるしかないわね…。秘密で特訓開始よ!」 ―――そして迎えた二人三脚。 「せつな…。もう一度、コンビ組んでもらえない…かな?」 「で、でも由美ちゃんと…私は…」 (あっ…。この目。あの時と…) 「イイよ!せつなちゃん。」 〝トン〟と背中を後押しして。もちろん笑顔で。 「由美ちゃん…」 「由美…」 ちょっと困惑気味のせつなちゃん。アタシはラブが特訓をしていた事を蒼乃さんと山吹さんから 教えてもらっていて。ラブの親友は由美ちゃんもだよ!って。アタシ、嬉しかったな~ 「いってきなよ!」 笑顔で2人を送り出す。 …本当はせつなちゃんと… スタートラインに並び立つラブとせつな。 「いいわね、ラブ。やるからには…勝つわよ!」 「とっおぜん!」 不適な笑みを浮かべる2人。 「作戦成功ね。完璧すぎるわ。」 「私、信じてた。今回は由美ちゃんのおかげだね!」 満面の笑みを浮かべる2人。 (運動が苦手なラブも、せつなちゃんと組めばどんな競技だって、 互いを思いやる心で快勝だよね~) 再び声援を送る由美。 脚はもちろん、腕も肩も腰も密着する2人。 「なんかドキドキしてきたわ…」 「あたしも。けど!やるからには息ぴったりに完璧で!」 〝位置についてー。よーい〟 「互いに声掛け合っていくわよ。」 「うん!せーの!」 〝ドン!〟 見事、愛の力で優勝ゲットしたラブとせつな。 その影に親友の協力があり。 「ニッへへ~。どうだった?せつな!!」 「そっ…そうね!いい感じよ!!」 嬉しさのあまりに思いっきり抱き合う2人。 (ピーチはんもパッションはんも今は気にならへんけど、あとになってから照れくさいでー。 でもな、シフォン。これがほんまもんの青春やー。) 「あまじゅっぱー?」 (しゃべったらあかん!) 「由美ちゃん!」 「あ、山吹さん。2人とも1位です~!」 「…完璧よ!アナタのおかげだわ。」 「うん!由美ちゃんのその健気な所、わたしちょっとだけ泣いちゃった。」 「今度は由美ちゃんが表舞台に立つ番ね。」 「え?」 「四葉町のレクレーション大会。わたしたちと一緒に出よ?」 「……ハイ!」 (あっれー、3人…妙に仲良くない?) (そうね。でも私たちには勝てないわよ?) 5-395借り物競争はこちらです
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/894.html
本をがむしゃらに読んだ成果か。最近はシフォンがよく懐いてきてくれるようになった。 「キュアー、みきぃ」 「おいでシフォン」 優しく腕にくるんであげるとシフォンは嬉しそうに声をあげた。感情を素直に出すシフォン。 「せつなとは正反対かも」 「あたしがなに?」 「パパだよー、シフォン」 「せちゅなー」 「変なこと教えないで」 せつなはむにーとあたしの頬っぺたをひっぱった。モデルは顔大事なのに。 「美希たんあたしも抱きしめてー」 ラブが後ろからじゃれついてきたので、引っぺがしてせつなにでも渡さそうかと思ったが、気が変わりシフォンを前に抱いたまま後ろに倒れ込んでラブを潰した。 ぐえっとか聞こえたが聞かなかったことにする。ラブのお腹ふにふにしてていい枕になりそう。 「昔は三人で一つのベッドに寝てたよねー。せつなとブッキーもおいでよ」 ラブは自然とそう口にしていた。 「二人とも、ラブを潰そうー」 ねんねーとはしゃぐシフォンを万が一の為に首元に持って来て体を開けた。ラブの寝息が聞こえてきたのには素でびっくり。 ブッキーがぴょんと枕の方に飛びのったらしい、せつなが状況を理解してなかったので手を引っ張ってあたしの上に頭がくるようにねかせた。 「これも地球の風習?」 「そんなものね」 シフォンがすぴーと寝だしたのであたしも目を閉じる。 昼寝などしそうにないせつながしょっちゅう体勢を変えるせいであたしが寝たのは結局最後だった。 せつなは最初の位置から随分上の方にズレていてつい笑ってしまった。 「ふつー無意識に胸の上で寝る?」 あたしの小言もベストポジションを見つけ深い眠りについたせつなには聞こえていないようだった。 ~side(S)~ 私が目を覚ますとラブとブッキーはすでに目を覚ましてベッドにはいなかった。 二人が楽しそうに話すのをみてすごくホッとした。 「おはよーせつな。お姫様は爆睡してるよ」 ラブが私の下にいる人物を見ながら言った。 気づくと私は美希の胸の上で眠っていたらしい。 恥ずかしくてがばぁっと起き上がった私を見てラブとブッキーはきょとんとしている。 まだ頬に残る感触が妙に生々しく心臓はしばらく落ち着いてくれなかった。 それにしても…… 随分シフォンと気持ちよさそうに寝ている。少し悪戯心がわいて耳に息を吹きこんでやろうと(ラブが私によくやる)顔を近づけると、美希がかすかに起きたみたいで 「んむぅ」 唇に柔らかい感触がする。零距離に美希の顔。しばらくして目を開けて私を確認した美希はびっくりして唇を離した。 「ご、ごめん」 「……」 私は口を押さえたまま何も言えなかった。ドキドキがとまらない。ラブが美希に文句を言っているが、わざとじゃないのがわかっているからか本気じゃない。 「美希たんのばかー」 「ごめんてば。寝ぼけてたの」 「サイテー、アホー」 ぎゃーぎゃー言うラブをおいて、美希が私にごめんねと謝った。かろうじて私は大丈夫と返事をした。 ラブたちからは死角で見えなかっただろうけど、あれは濃厚なものだった。舌を絡めとり吸い付く。息をする暇もないもの。 無意識であれができるって……私のかすかにできた疑問は舌に残る熱で隅に追いやられてしまった。 ~~~~~~~~ 暑い……。 季節は冬だけど、この部屋は暖房が効きすぎている。汗がいつもより流れる。 だめだ。喉渇いてきた。 「ねぇ、暑いよ」 「ん、美希の味がする」 変態。あたしをうつぶせにして背中を執拗になめてくる。ドラマが新しく決まったらしい彼女はいつもよりご機嫌だ。 「もういい?」 「私を置いてったくせに」 この間のことをまだ根にもってるらしい。体の向きをかえて手の平で彼女の豊満な胸を包み込む。 「ごめんね。ゆるして」 「私だけを見て」 欲望に濡れた瞳に笑顔を返す。 我慢限界…… あたしはぎゅーと彼女を抱きしめて水飲んでくるねと言ってシャツを羽織って立ち上がる。 ぐんっと手を引かれてあたしが離れたはずのベッドにまた逆戻り。 もー…… 「なに?」 「飲ませてあげる」 彼女は自分用にいつもベッド横の棚に置いているスパークリングウォーターに手を伸ばした。 あたしはぬるいのは嫌だからいつも冷蔵庫から取っている。 にこにこしている彼女の機嫌を損なわないよう、受け入れることにした。 彼女の唾液と共に炭酸水が入ってくる。少ない量でも人のタイミングで飲むのは難しい。 あたしの口元からこぼれたものを彼女の舌がすくう。 よほど喉が渇いていたらしい。あたしは夢中で彼女に舌を絡める。 ふと部屋がかすかに赤く光った気がした。 え…… せつな? ぶはっ 彼女は呆然と女性と絡み合うあたしを見ていた。せつながハッとしてまた部屋が赤い光に包まれる。 「んー、汚いなぁ何?てか今なんか光った?」 「ごめっ、はぁ、気のせいだよ」 あたしは炭酸が逆流してヒリヒリする鼻をつまみながら、誰もいない場所を見つめていた。 ~side(S)~ あれはなんだったんだろう―― 部屋にいるとばかり思っていたのでアカルンに美希の自宅ではなく、美希のところへと命令してしまった。 メールに入っていた昼間の件の真摯な謝罪文に、気にしないでと直接伝えに行こうとしただけなのに。 美希が綺麗な女性と絡み合っていた。この間美希と会った時サングラスをかけていた人だろう。 美希は私に気づくと複雑な顔をしていた。 リンクルンがメールを知らせる。開くとやはり美希からで、明日8時にあたしの部屋に来てもらえる?と入っていた。 返信せずに布団に潜る。 ラブにもこれは相談できない。やっぱりまずは美希と話さなければいけない。 いつもみんなのお姉さんでいた美希。彼女に闇があったのだろうか―― 今すぐじゃなく明日の朝。彼女は今もあの女性と寝ているのだろう。私は一晩中寝れなかった。 ~~~~~~~ 「おはよ、せつな」 「………」 あたしは一睡もしていないが頭はやけにさえている。 目の前のせつなを見ながら缶コーヒーを口に含む。苦味が口内に広がった。 「昨日は……突然ごめん」 「ほんと突然」 せつなは真っすぐあたしを見た。 「あれは……恋人さん」 「違うよ」 「じゃあ……」 「お金をもらってる」 せつなは目を見開く。 「でも別にお金欲しいわけじゃないし。あの人だけじゃなく……他にも何人かと関係もってる」 「なんで……」 せつなは理解できないといった顔をしている。たいした理由はない。遊びなのだ。日常を刺激するスパイス。 「セックス好きなのかも」 「美希……だめだよ。やめて。そんなことしないで」 せつなは泣きそうになっている。なんで泣くのよ。面倒くさい。 「じゃあせつなが相手してくれる?ラブに内緒で」 わざと笑顔で吐き捨てるとせつなはキッと睨んだがすぐ悲しそうな顔になった。 「いいよ。美希があんなことしなくなるなら私と寝る方が安全だし」 「何言ってんの。意味わかんない」 イライラする。ラブを裏切る気もないくせに。勝手なこと言わないで。 せつなが正しいのはわかってる。だが否定的に言われると反発してしまう。 逆切れぎみにせつなを睨むとぞっとするような冷たい目を向けられた。 「刺激が欲しいんでしょう?満たしてあげる。親友の彼女なんて最高じゃない?そのかわり次にその人たちと会うときは先に私を呼んで。私で満足できなければ会いに行けばいい」 「ラブを裏切るの?」 「私はラブが好き。でも美希も大事。だからそんなことしてほしくない……でもわざわざラブに知らせる気もない」 馬鹿正直じゃないのよ私。 せつなはそう言った。その眼差しは真剣だった。 あたしはせつなに皮肉な笑顔を見せると、受諾の意味で柔らかい唇にキスをした。 「とりあえず帰って。シャワー浴びたい。寝たい」 せつなはあたしの髪に顔を近づける。 「あの時の……美希じゃない匂いがする」 「今からせつなの匂いをつける?」 わざと挑発するようにせつなに顔を寄せると、早くシャワー浴びればとせつなは素っ気なく言った。 こんな顔もするのね。 あたしはなぜか帰らないせつなをほっといて浴室に向かった。 「おかえり」 「まだいるの」 何が目的かわからないがとにかく今は眠い。あたしは髪を乾かすとベッドに潜りこんだ。せつなはそれをみると隣に入ってくる。 「何?昨日激しかったから体力ないよ」 「そうじゃないわ」 せつなはあたしを包み込むように抱きしめると私の目的は美希を救うことだからと言った。 ほんとイライラする。 抵抗する気力もなかったのであたしはやけに温かい布団の中で眠りについた。 み-506へ
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/776.html
少し強めの日差し。 街路樹の緑もいっそう色を濃くする。 熱気を掃うように一陣の風が吹きぬける。 せつなは片手でスカートを、もう片手で帽子を飛ばないように押さえた。 のどかな土曜日のお昼過ぎ。 せつなはラブと商店街のスーパーにお買い物に出かけていた。 「みんなでおうちでゆうごはん~」 「ちょっと、ラブったら。恥ずかしいから街中で歌うのはやめて!」 ラブは、にははと笑いながら商店街の人達に手を振って応えた。 「楽しいと、自然に歌いたくなるんだよ」 (もう……理由を聞いてるんじゃないのよ) そう思いながらも、せつなもつい口ずさみそうになり顔を赤らめる。 今日はおかあさんが残業で遅くなる日。 ラブとせつなの食事当番の日。 美味しい料理でもてなそうと、おかあさんが勤めるスーパーにやってきた。 「トマトが実れば、医者が青くなるんだって」 ラブが果肉の大きなトマトを手の上で転がす。 キュウリ・ナス・ピーマン。オクラ・ニガウリ・モロヘイヤ。 みずみずしい夏野菜が美しく並ぶ。 「ことわざね、わかってるわよ。旬の野菜は大事よね」 せつながあきらめたような顔でピーマンを買い物カゴに入れた。 ふと、足を止める。目に映るのは黄色いポップ。 「ニンジンが、特売なのね」 「いや、ニンジンは昨日食べたばかりっていうか、その……」 せつなが無言でラブを見つめる。 「うっ……わかりました。なんてね。全然平気だよ、せつな。だって……」 せつなが居ない食卓。そんなところで食べるハンバーグより、せつなが作ってくれたニンジン 料理食べるほうがずっと楽しいもの。 「もう。そんなこと言われたら買えなくなるじゃない。わかったわよ、栄養は他のもので補い ましょう」 「えっ! ほんと? やったね」 「なんてね、冗談よ。作ってあげるからしっかり食べてね」 せつなは容赦なく買い物カゴに徳用袋の人参を放り込んだ。 ラブの悲鳴を無視しながら思う。 私も……どんなご馳走よりも、ラブと食べるご飯の方が美味しいと。 おかあさんを見つけた。ファイルを持って豆腐とにらめっこしてる。 「「おかあさ~ん」」 嬉しそうにラブとせつなが駆け寄る。あゆみも笑顔で自慢の二人の娘を迎えた。 「何しているの? おかあさん」 「ああ、これはね」 発注台帳と言うのよ。と関心を持ったせつなに説明する。 一品ごとに細かく書かれた数字の羅列。前年の販売数。先週の数。気温ごとの誤差。 「より新鮮なものを、売り切れの無いようにするために頑張ってるのね?」 「その通り! 全てはみんなの幸せのために、ね」 あゆみがパチリとウィンクする。 広い通路。読みやすい大きさの字。背が低くても届く陳列棚。 やさしさは至る所に溢れている。 店内放送でレジに呼ばれたあゆみに別れを告げ、買い物を続けた。 「苦手なものもちゃんと食べるのよ」 そう言い残したおかあさんに応えて、ラブが思い付きを提案する。 「せつなっ、勝負しようよ!」 お互いに苦手な食材を使って一品づつ調理する。判定はもちろんおかあさん。 「料理なら負けないよ~!」 「私が上達してないとでも思ってるの!」 しばらく睨みあって、そして笑う。今夜も楽しくなりそうだった。 夕飯の下ごしらえを済ませてから、いよいよ本番。 ピンクと赤のお揃いの可愛いエプロンをつけて腕まくり。 二人とも自信たっぷりだ。 ラブはフライパンにごま油を入れて、何やら炒めだした。 短冊に切ったピーマンを後から加えて更にじっくり焼いていく。 せつなはおろし金を引っ張りだした。 ボールにサラダオイル、砂糖、玉子、シナモン、アーモンド、塩、すりおろした人参を入れ、 全部一緒にする。 水で溶いた小麦粉と一緒に練りこんでいく。 互いに苦手な食材で作りあってるのに、美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。 既に勝負は始まっていた。 「「「「いただきま~す」」」」 いつも通りに美味しいラブのハンバーグ。今夜は大きさは小さめ。 そして出てきたのが――。 「これは、ピーマンの炒め物?」 砂糖と醤油で味つけて乾燥させた、たっぷりの鰹節。 カリカリに焼いたちりめんじゃこと刻んだうす揚げ。 両面をこんがり炒めた短冊状のピーマン。 「美味しい……」 苦手なはずのせつなの箸もどんどん進む。特有の青臭さと苦味をあまり感じなかった。 「これは……ビールが欲しくなるなあ」 「はいはい、ちゃんと用意してあるわよ」 あゆみが冷蔵庫から出してきて栓を開ける。せつながグラスを用意した。 ラブが勝ち誇った顔をする。 「まだまだ、勝負はこれからよ」 食後の紅茶の時間になる。今回せつなが作ったのはデザートだった。 「私の料理はこれ。たっぷりのニンジンを使ったキャロットケーキよ」 こげ茶色のバウンドケーキ。表面はホイップクリームで飾られている。 「うわっ――せつな、これ、凄く美味しい」 「ほんと――やわらかい味って言うのかしら」 「上品なお菓子だね。せっちゃんにぴったりだ」 砂糖を使いすぎず、ニンジンが持つ自然な甘みを引き出す。 柔らかい生地に仕込まれた、砕いたアーモンドの舌触りが楽しい。 少しパサつくところを、ホイップクリームが上手に補っていた。 紅茶もいつもより美味しく感じられる。 「う~ん。おかわり!」 ラブが一番に食べ終わった。 一人ひとつよ。そう言ってせつなが笑う。つられておとうさん、おかあさんも。 「さあ、判定よ」 あゆみが立ち上がる。ラブをせつなは息を呑んで待った。 「今日のところは――両方美味しいので引き分けよ」 「「えぇ~~~!」」 「それじゃこうしましょう! 勝ち負けは次の対決で決めるの。 次は……そうね。ほうれんそう料理よ」 「おかあさん、それズルイ」 「いいわ。私、精一杯頑張る」 「だって……わたしも苦手食材克服したいんですもの」 「夏場に無理に食べなくても……」 圭太郎はそう言いながらも嬉しそうだ。僕は苦手なものがないからなあ、とぼやいていた。 ラブが再び歌いだす。 「みんなでおうちでゆうごはん~」 今度はせつなも一緒に、みんなで一緒に歌いだす。 四つ葉になった桃園家に響き渡る。 それは――――幸せの歌。 避2-142へ
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/496.html
【覚醒】/恵千果◆EeRc0idolE R18 最近、やけに眠い。毎晩21時にはベッドに入るようにしているのに、朝起きるのがつらい。 それに、確かパジャマを着て寝たはずなのに、起きたら違う服だった…って事が多い。 一体どして? 「ふわあ~おやすみ、せつな!また明日ねー」 「おやすみなさい、ラブ。いい夢見てね」 ラブと私はそれぞれの自室へと入る。 明かりを消して、瞳を閉じた。 小1時間も経った頃、せつなは突如ムクッと身体を起こす。 「やっと寝てくれたな…。ようやく自由時間だ。」 いそいそと着替えると、アカルンでテレポートする。 「美希の部屋へ」 赤い光に包まれ、せつなは美希の部屋に。 ベッドでは、美希が静かに寝息をたてていた。 『水色のネグリジェか…。シースルーではないか! これはたまらんな、鼻血ものだ…。』 せつな―――否。 せつなの中のもうひとつの人格として覚醒したイース。繰り返される美希の部屋への禁じられた訪問。 「ノーブラ、ノーパン…。なんてイヤらしい格好だ…」 抑えきれない欲望、興奮。両の鼻にティッシュを詰めたイースが、美希のネグリジェを舐めるように見つめて考える。 『せつなはラブが好みなようだが、私はなんといっても美希派だな。 ラブやブッキーはまだまだお子ちゃまだし。 しかし、見ているだけなんて、そろそろ限界だ。』 ――スイッチオーバー―― イースは、美希の胸元へそうっと手を伸ばした。 布越しの桃色の部分に触れる。 最初は柔らかな触り心地だったが、少しずつ硬く尖ってゆく。 「…ぁん…ダメぇ…」 美希が甘い声をあげた。 『む…、起きてしまいそうだな。 仕方あるまい…、覚悟を決めるか。』 イースはそっと美希の横に近づく。 忍び込むと言った方が正しいだろう。 身体をくっつけ、美希にくちづける。 舌を使い、くちびるをこじ開け、歯列を舐める。 刺激によって美希が口を開けると、舌を絡めとった。 濃厚なキスを続けながら、手は美希の胸を揉みしだく。 「ん…ちゅぷ…ぴちゅ…っ、ぷはっ!せ、せつな!?」 「起こしたか?」 「起きるに決まってるでしょうが!ひとんちのベッドで何してんのよ!」 キスの事実に、美希は真っ赤になった。 その間も、イースの手は絶え間なく美希の胸に快感を与え続けた。 「んあっ…なんで…こんなこと…」 「美希、お前が好きだ」 「ええっ!?…あ、そうか!アナタ、せつなじゃないわね」 「よくわかったな…」 ほくそ笑むイース。 だが行為は止まらない。 イースは次に、美希の恥丘に手を伸ばした。 先程までの前戯によって、そこはすっかり潤んでいた。 イースの指が、秘芯を擦りあげる。 (ヤバイ…!自分でするより何倍も気持ちイイ…かも。) 余りの心地良さに、美希は抗うことすら忘れていた。 「せつなじゃないなら…んん!…アナタ、いったい誰…な、の?」 「我が名はイース…。たいていせつなの中で眠っているが、お前に逢いたくなったら目覚め、こうしてここに来てしまう。」 イースが最後の仕上げにかかる。 「イースッ…あっ、もう…アタシ…完璧に…イキそう」 「そうか、可愛いヤツめ。イクがいい!さあ、声をあげて果てろ!」 「んんんんんー!!」 抱きしめ合うふたつの影。 「また…、来てもいいか?」 しばし時が流れる。 「しょうがないわね…皆にはナイショよ?」 ちゅっ。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/269.html
第12話『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。メジロの雛を守れ!――』 「さあ、急がなくっちゃ」 せつなが朝食の支度に駆け回る。 真剣な表情の中に、時折こぼれる笑顔。 まるで踊るように手際よく調理をこなす。 これで完成! 食卓に美味しそうな匂いが立ち込める。 焼き魚と目玉焼き。ご飯に味噌汁。お漬物とサラダ。 手際よく盛り付けて食卓に運ぶ。お茶の温度も香りも申し分ない。 「あら、おはよう。せっちゃん」 「おはよう。美味しそうだなあ」 「おはよう! おとうさん、おかあさん」 圭太郎とあゆみの元に、せつなが嬉しそうに駆け寄った。 夏休み中の朝ご飯のしたくは自分にやらせてほしい。せつなのお願いだった。 始めは軽いお手伝いのつもりだった。やっている中に、その楽しさに目覚めてしまったのだ。 大好きな家族に一番に会える。迎えておはようって言える。喜んでくれる。笑ってもらえる。 前にお母さんに聞いたことがある。お母さんの幸せは何って。 「家族みんなの笑顔を見られることよ」って言ってた。 その意味がなんとなくわかったような気がした。 「毎朝悪いわね、せっちゃん。ラブはどうしてるの?」 「ラブは……お休みの日はレッスンでもない限り起きてこないもの」 「まあ、夜遅くまで勉強してるみたいだしねえ」 「甘やかしちゃダメですよ、お父さん」 微笑みながらせつなは給仕に専念する。一緒に食べようとの誘いを、後でラブと食べるからとやんわり断る。 「いってらっしゃい」 仕事に向かう圭太郎とあゆみに手を振って見送る。軽く後片付けしてから、時計を見る。 「まだ、起きてくる時間にはだいぶあるわね」 ラブの部屋の方を見てからため息をつく。小走りに玄関に向かいシューズを履いた。 朝のお散歩に出かける。これも――最近の習慣だった。 『帰ってきたせっちゃん――ある日のせっちゃん。メジロの雛を守れ! ――』 河川敷を散策する。 川のせせらぎ。 新緑の木漏れ日。 朝の柔らかい日差し。 小鳥のさえずりと――犬の鳴き声!? え? 「きゃあ、止まって~」 向かってくる一匹の大きな犬。正面は危ないと判断して廻り込んで抱き止める。 「ごめんなさい、せつなちゃん。ありがとう」 「ブッキーじゃない、どうしたの?」 大きな黒い犬と黄色いワンピースの似合う小柄な少女。犬の散歩というよりは、猛獣に引きずられた被害者といった風体だった。 「ほんとうにごめんね、せつなちゃん」 「たいしたことないわ」 預かってる犬の散歩の途中にせつなを見かけて、その犬が嬉しがって駆け寄ったらしい。 大きすぎるため人を怖がらせるといけないので、早朝の人気の少ない道を選んでいたのだ。 「おとうさんなら片手で簡単に止めるのにな」 まだまだ修行不足とこぼす。ブッキーのおとうさんは大きいものね、と内心思いつつも口にはしなかった。 このまま一緒に帰ることにした。 びー、びー、びー。 「小鳥の囀り、可愛いわね」 「……待って! せつなちゃん。様子がおかしい。この鳴き方は警戒よ」 「マンションの工事現場の方角よ、行って見ましょう」 二人は駆け寄った。 黄色いヘルメットと灰色の作業着を着た男性が、一本の木を切り倒そうとしていた。その周りを緑色の小鳥が飛び回る。 「まって! お願いします。待って下さい」 「せつなちゃん、あそこ!」 二メートルに満たない小さな木。その中央辺りの葉の茂みの中に、釣鐘状の茶色い巣があった。 そっと覗き込むと、飛んでいるのと同じ緑色をした小鳥が卵らしきものを温めていた。 「これは……メジロね。こんな小さいアセビの木に巣を作るなんて」 メジロというのが鳥の名前らしい。近づいたため巣の鳥も飛び立った。離れて様子を伺うと、また巣に戻り温めようとする。 もう一羽の鳥はずっと上空を旋回していた。 「お嬢ちゃんたち、そろそろどいてくれないかな。今日中にここは平地にして舗装してしまいたいんだ」 「そんな……。それじゃあ巣が――卵が!」 「お仕事なのはわかります。でも、巣の保護を優先してもらえないでしょうか」 慌てるせつなと対照的にブッキーが毅然と反論する。見たこともないほど強い意志を感じた。 「鳥獣保護法で鳥や卵の損傷は禁止されているはずです。わたしは山吹動物病院の娘です」 「損傷はしない。木を切って巣ごと邪魔にならない場所に移す。それならいいだろう」 「それじゃダメです! メジロは気の小さい生き物です。大きく環境を変えられたら、巣と卵を捨ててしまう可能性があります」 「そこまで責任は持てない。おじさんたちは愛護団体じゃないんだ」 ブッキーの目が怒りに燃える。強く反論しようとしたのをせつなが止めた。 「ブッキー、喧嘩腰はダメよ」 「でも……せつなちゃん」 「ここは……ラビリンスの攻撃を受けて空き地になった場所なの……」 ブッキーはせつなの手が震えているのを感じた。気持ちを察して口をつぐむ。 せつなは深々と作業員のおじさんに頭を下げた。 「私には、難しいことはわかりません。でも……ここは悲しいことがあった場所です。もう、誰にも、何にも傷ついてほしくありません。なんとか助けてあげてください」 せつなは深く頭を下げたまま、微塵も動こうとしなかった。かなり苦しい体勢であるにもかかわらず。 ブッキーも見かねて一緒に頭を下げる。無理な姿勢に震える足を懸命に押さえ込む。 「まいったな……。ちょっと監督に相談してくるから待ってな」 「「ありがとうございます!!」」 二人は手を取り合って喜んだ。 それから半時間ほど、監督に掛け合ったり事務所に連絡取ったりして、なんとか舗装工事を後回しにしてもらえることになった。 「なあに、いざとなったらおじさんたちが徹夜してでも工期は間に合わせるさ」 せつなとブッキーの情熱に打たれたのだろう。先ほどの人も最後には味方になって説得を手伝ってくれた。 「良かったね、また明日も様子見にくるからね。元気な雛が生まれるといいね」 「私、精一杯応援するわ! 小鳥さんも、おじさまたちも」 落ち着いたのか、上空を飛んでいた鳥も巣に戻ってきた。虫らしきものをもう一羽の鳥に与えていた。 ぴー、ぴー、ぴー。 今度は優しい声で鳴いた。立ち去るせつなとブッキーに、お礼を言ってるかのように。 「こんにちは~」 危険だからと言う理由で、昼の休憩時間のみ巣の見学を許されていた。すっかり親しくなった現場の方々に挨拶してまわる。せつなとラブが手製のお菓子と紅茶を差し入れしてまわる。 「見て! 美希ちゃん。卵が孵ってる」 「うわぁ、可愛いのね。口がおっきくて。三羽もいるのね」 「どれどれ、ほんとだ。メジロの赤ちゃんってピンク色なんだね」 「ラブ……。ピンクなのは体毛が生えてなくて地肌だからでしょ」 親鳥が青虫らしきものを雛に与えていた。雑食性で、穀物、果実、木の実、昆虫と何でも食べるんだそうだ。 いつ翼を休めているのかわからないくらい、親鳥たちはひっきりなしにエサを運んでくる。 それから、四人は暇ができるたびに見に行った。特に、せつなとブッキーは毎日のように。 雛の成長はめざましかった。数日で目が開き、また数日で体毛が生え揃っていく。 日に日に大きくなって成長していく。それを見守るのが嬉しくて、楽しくて、わくわくして。 せつなの嬉しそうな顔で幸せな気持ちが伝わったのか、はたまた毎日の差し入れの効果なのか、現場の作業員のおじさんたちも一緒になって見守るようになった。 祈るように毎日見つめ続けた。 巣を見つけてから二週間。孵化してから十日間ほどたったある日のことだった。 「なんだか様子がおかしいわ」 「せつなちゃん、この声は警戒よ。――ううん、違う! これは」 メジロの親が木の周りを旋回するように飛んでいる。雄鳥だけならともかく、二羽とも。 「もしもし、ラブ、巣に何かあったみたいなの。美希と一緒にすぐに来て」 びー、びー、びー。 「お待たせっ、せつな!」 「何があったの? ブッキー」 親鳥たちは、相変わらず鳴き声を上げながら旋回を続けている。 そして、巣に変化が起こった! バサッ――バサッ――バサササッ―― 一羽の雛鳥が飛び立った。 それにつられるように、もう一羽も。 二羽の雛鳥はゆっくりと飛びながら、隣のもみじの木の頂上近くで止まる。 「「「「わぁぁぁぁーーーー」」」」 せつなが、ブッキーが、ラブが、美希が歓声を上げる。 残りは一羽。 懸命に羽を広げる。 大きく大きく羽ばたく。 しかし、飛び立てない。 親鳥が二羽とも巣の隣まで戻って来た。 一羽は心配そうに鳴き声を上げる。 もう一羽は手本でも見せるかのように羽を広げて羽ばたく。 四人は祈る。 ――がんばって!――がんばって!――がんばって!―― ついに雛鳥が浮き上がる。 フラフラとよろけながら飛び立つ。 もみじの木の途中辺りまで来て、バランスを崩し落下した。 「あっ!」 せつなが見かねて飛び出そうとする。その手をブッキーがしっかりと掴んで止めた。 「よく見て、せつなちゃん。あの子、まだあきらめてない」 雛鳥は起き上がり、再び羽を広げた。 親鳥はその上を旋回し、木の上の雛鳥たちも鳴き声を上げた。 「がんばって、頑張るのよ! おとうさんも、おかあさんも、必死にあなたを育ててきたんだから!」 ついにせつなが叫び声を上げる。 『そうだ~がんばれよー。俺達もついてるぞー』 作業員のおじさんたちもすぐ後ろまで来ていた。メジロたちもこの期に及んでは逃げなかった。 クローバーとおじさんたちと、メジロの親子の叫び声が重なる。 バサッ――バサッ――バサササッ―― 今度こそ、力強く羽ばたいた。まっすぐ、木の上で待つ雛鳥たちの元に飛んでいく。 「「「「わぁぁぁぁーーーー」」」」 『おぉぉぉぉーーーーーーーーーー』 ぴー、ぴー、ぴー。 親鳥がみんなの周りを低空で飛ぶ。だけど、その動きには威嚇はなくて。 まるで、お別れを言っているように見えた。 そして、五羽のメジロの親子はいっせいに大空に向かって飛んでいった。 ――高く――高く――真っ直ぐに―― せつなは願う。 どうか、あの子達の行く先が幸せに満ちていますようにと。 そして、自分の目から流れている涙に気がつく。それは、感動と感謝の涙。 私も――もらったんだ。あの子たちに――その成長に――幸せを。 ラブも、美希も、ブッキーも、みんな涙ぐんでいる。おじさまたちも。 親の想い。子の想い。家族がいる幸せだと、ひとくくりに考えていた。 命を生み、守り、育む幸せ。私の知らなかった、これも幸せのカタチ。 メジロの親子が残してくれた――教えてくれた。 大切な思い出と――命の素晴らしさ。 せつなは空を見上げてつぶやいた。 ――ありがとう。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/215.html
赤い翼の輪舞曲 第1話――ラビリンスからの誘い―― 弾けるような加速によって、瞳に映る景色が溶けていく。太陽の光も、星々の輝きも、全てが一つに交じり合う。 ラビリンスを発った一行は、数多の世界を渡り、故郷へと帰還する。 混沌の闇を越えて、光の門を潜り抜ける。その先には、七色に彩られた不思議な空間が広がる。 世界を繋ぐ奇跡の花、プリズムフラワーの力が作り出す虹の回廊。 ホホエミーナの、純白の翼が力強く羽ばたく。 再び、真っ白な光に包まれる。あまりの眩しさに目を閉じる。一呼吸してから、そっとまぶたを持ち上げた。 大好きな街、四つ葉町の公園の景色が映る。瞳が潤み、わずかに視界が歪む。 冬の夜の、澄んだ空気が胸いっぱいに広がる。 大気の綺麗な世界なら、他にもあった。景観の美しい世界なら、他にもあった。 でも、心が安らぐようで、それでいてときめくような、こんな不思議な気持ちにさせられる場所はここしかない。 「帰って――来たね。せつなっ!」 「ええ!」 「お父さんとお母さん、心配してるだろうなぁ……」 「早く帰って、安心させてあげなきゃね」 全力で走っているのに、意地悪なくらいにゆっくりと景色が流れる。 早く――早く――帰りたい。 不思議だと思う。自分の故郷はラビリンスで、ここは異世界のはずなのに。 どうして、帰るなんて言葉が出て来るんだろう。どうして、こんなにも心が弾むんだろう。 やがて見えてくる、優しい肌色の壁に、ピンクの屋根。赤い色のひさし。 手入れの行き届いた広めの庭。二階には、植物を這わせてあるバルコニー。大きくはないけれど、温かみを感じさせる家。 ノックなんて必要ない。だって、自分の家なんだから。 もどかしい気持ちをぶつけるように、やや乱暴にドアを開ける。 パタパタと、転がるように出て来る二人。たまらなく会いたかった、大切な家族だった。 「ただいま」 「ただいま、おかあさん……」 「お帰りなさい。せっちゃん、ラブ」 手を引いて、抱き寄せられる。温かい胸。優しい匂い。 泣いているのに、涙声で震えているのに、こぼれるように明るい笑顔。 必ず帰ってこいと言ってくれた。必ず帰ってくると約束した。なにものにも変えがたい、せつなの大切な居場所だった。 『赤い翼の輪舞曲――ラビリンスからの誘い――』 テーブルの上に、所狭しとご馳走が並ぶ。突然の帰宅だったはず。あり合わせの食材で、急遽作ったとは思えない。 あゆみの自慢のラザニアや、圭太郎が作ったと思われる肉じゃがもあった。 二人がいつお腹を空かせて帰ってきてもいいようにって、冷蔵庫はいっぱいにしてあったらしい。 見ていたラブとせつなもじっとしていられなくなって、それぞれが得意とするハンバーグとコロッケを作り上げる。 「うーん。これ、どうしよう?」 「確かに、ちょっと作りすぎちゃったわねぇ」 「大丈夫よ。私、精一杯頑張るわ!」 「じゃ、あたしも負けないよ~」 「それでは、せっちゃんとラブが、無事に帰ってきたことを祝って!」 「私たちの、自慢の娘たちを称えて!」 「「「「乾杯~!!」」」」 夕ご飯を食べながら、ラブはラビリンスでの出来事をあゆみと圭太郎に話して聞かせる。 せつなはラブに相槌を打ちながら、あまり過激な表現をして二人を心配させないように目を光らせていた。 ラブが力を入れて話したのは、ラビリンスの人々の暮らしや彼らとの交流について。 ドーナツが大評判だったこと。陰から力を貸してくれた人たちがいたこと。みんなの応援を翼に変えて戦ったこと。 彼らなら、きっと素敵な国が作れるだろうってことだった。 あゆみは驚いて目を丸くしたり、優しく微笑んで見せたり。話の展開があまりに現実離れしていたので、全ては理解できていないようだった。 それでも、二人が精一杯頑張ってきたんだってこと。これでやっと、本当の平和が訪れたんだってことは、ちゃんとわかってくれた。 「ラブ、せっちゃん、今回は特別に許します。でも、本当は親に心配かけるのはいけないことなのよ。以後、危ないことはしないこと。いいわね!」 「はぁ~い!」 「はい……」 元気に手を挙げるラブに対し、せつなは歯切れの悪い返事をする。 そんなせつなを、あゆみは心配そうに見つめる。 「せっちゃん? もう、どこにも行かないのよね?」 「えっ? ええ……。うん、大丈夫よ」 考え事をしていたせつなは、あゆみの問いかけに慌ててそう答える。 首を振って、バツが悪そうに笑顔を作る。 しかし、大丈夫と言っただけで、その先の言葉が続くことはなかった。 せつなには、この幸せが長くは続かないであろうことが、なんとなく感じられるのだった。 帰還から数日後。公園で、せつなはウエスターとサウラーと待ち合わせをしていた。 二人とも、この世界の人間の姿である西隼人と南瞬として現れる。 もう三人の間には、以前のようなわだかまりはない。 しかし、ラビリンスの幹部仲間であった頃のような関係とも違い、なんとなく気まずさを覚える。 「それで、私に話って何?」 「ああ、それなんだがな、イース」 「私をイースとは呼ばないで! 少なくとも、ここでは」 「スマン、せつなと呼ばせてもらおうか。単刀直入に言おう。俺たちと一緒に、ラビリンスに戻らないか?」 隼人と瞬は、今はラビリンスに生活の拠点を置いていた。 そこでライフラインの復旧作業に協力しながら、四つ葉町を中心に、各パラレルの様子を見て回っているらしい。 「私たちで、ラビリンスを導こうってわけ?」 「いや、僕たちはそこまで傲慢じゃない。もちろん協力は惜しまないつもりだけどね」 「そうとも、せっかく自由になったんだ。俺たちがあれこれ決めてちゃ、意味ないからな」 「だったら――」 「なぁ、イ……せつな。俺たちも、昔のように三人で仲良くやらないか?」 「冗談でしょ? 私は、あなたたちと仲良くしたことなんてないわ」 せつなは、話は終わったと言わんばかりに、踵を返して立ち去ろうとする。その行く手を瞬が遮った。 「この世界で、もう君がすべき事はないはずだ。僕たちは、もともと招かれざる客だということを忘れたのかい?」 「俺には難しいことはわからん。だが、俺たちはラビリンス人だ。役目が終われば帰る。それが自然だ」 「何の役目よ!」と、一瞬せつなはムッとする。自分たちに課せられた使命は、この街の人々の不幸のエネルギーの収集だった。 ハッキリ言ってしまえば、ラビリンスはこの世界に対して迷惑しかかけていない。 しかし、だからこそ、招かれざる客と表現した瞬の言葉には、逆らえない響きがあった。 「少し考えさせて。二週間後にダンス大会の決勝戦があるの。返事は、その時にさせてもらうわ」 そう言って、せつなは今度こそその場を離れた。そのまま公園の奥にある、石造りのステージへと向かう。 今日はダンスレッスンを再開する日だった。別行動をとっていたラブたちも、そろそろ到着している頃だろう。ミユキさんが来るまでには、準備運動を済ませておきたい。 自分のせいで延期になってしまった、クローバーの夢の舞台。今度こそ、何があっても成功させたかった。 パンキングから、ハンド・ウェーブ。波を意識したモーションが続く。その流れがせつなの所で止まってしまう。 普段の完璧な演技からは、考えられないようなミスだった。 気を取り直してもう一度。今度はしっかりと繋がった。しかし、その次のコンビネーションでまた外してしまう。 「ストップ! 今日はここまでよ」 ミユキがレッスンの終了を告げる。全国大会の決勝戦の日程が決まったこともあり、練習は相当にハードなものだった。 ふ~っと息を吐いて、その場に座り込むラブと美希と祈里。これでも予選を突破したユニットだ。もう十分に技術は伴っている。 後は、徹底的な反復練習を重ねて、本番でのミスのリスクを減らしていくしかない。 ミユキはそんな三人ではなく、一人立ったままのせつなと向かい合う。息は荒いものの、体力の地力が違うのか、せつなにはまだ余裕があるようだった。 「せつなちゃん、今日はどうしたの? 全然ダンスに集中できてなかったわ」 「すみません。次までには、必ず合わせられるように練習します」 「戦いが終わったばかりで疲れてるのはわかるけど、またとないチャンスなの。しっかりね」 「はいっ!」 普段なら、教え子の悩みや迷いには、人一倍敏感なミユキだった。しかし、最後の戦いが終わった安堵感のためか、そこまで気が回ることはなかった。 せつなも、すぐに表情を引き締める。ダンス大会における意気込みは、他の三人よりも強いくらいだった。 「ねえ、せつな。もしかして、何か考え事をしてたんじゃない?」 「やっぱりそう見えるよね、美希たん。大丈夫? せつな」 「ごめんなさい」 「怒ってるんじゃないよ、せつなちゃん。ただ、何かあったのなら、わたしたちには話してほしいから……」 ミユキはたまたま調子が悪いのだと判断したが、他のメンバーの目は誤魔化せなかった。 ラブたちには、ラビリンスでの戦いが、単純に勝利として喜べるものではないことがわかっていたからだ。 しばらく迷ってから、ためらいがちにせつなは口を開く。 「みんなは――ダンス大会で優勝できたとしたら、その後はどうするの?」 「もちろん、プロデビューだよね!」 「どうかな。モデルと両立できる範囲でなら、ダンスは続けたいと思うけど」 「わたしも美希ちゃんと同じ。プロになるかはわからないけど、みんなとダンスは続けたいと思ってる」 「うん、そうだね。美希たんとブッキーには、夢があるもんね。でもさ、せつなはずっと一緒だよね!」 「ええ、そうね……」 ふと、既視感に捉われる。こんなやり取りが、前にもあったような気がした。 それは現実ではなくて、ラビリンスのイースだった頃に見た夢。 あの時は、答えようとして、幸せの素に力を入れて――そのまま砕け散ってしまった。そこで夢から覚めた。 今のせつなは、夢の中にいるわけではない。ここは現実なのだ。小さいけれど、確かな実体を持ったペンダントを握り締める。 四つ葉の一葉となった、小さな小さなペンダント。その一枚きりの葉っぱは、この先のせつなの運命を暗示しているかのように感じられた。 コンコンと、ラブの部屋が控えめにノックされる。 部屋の主は留守だった。タルトがジャンプしてドアノブを回す。 廊下で待っていたのはせつなだった。タルトしか居ないのを確認した上で、ラブの部屋に入る。 「パッションはん。ピーチはんと料理しとったんやなかったんか? シフォンもリビングにおったし、ここはわいだけやで」 「わかってる。タルトとお話がしたかったの。今、いいかしら?」 「なんや、珍しいこともあるもんやなぁ。まっ、遠慮せんとくつろいでや!」 自分の部屋のように言うタルトの様子に、思わずクスッと笑みがこぼれる。リラックスして、話が切り出しやすくなった。 「あなたに聞きたいことがあったの。タルトは、このままずっとここで暮らすつもりなの?」 「まさか、そんなわけあるかいな。わいはスウィーツ王国の王子なんやで。それに、ここはそもそも妖精の住む世界やないからな」 タルトはダンス大会を見届けたら、シフォンを連れてスウィーツ王国に帰るつもりだと言う。 帰る日を延ばしているのは、自分もラブたちの夢の行方を見届けたいから。そして、大会前に帰ることで、みんなの心を乱したくないからだった。 「まあ、隠してるわけやないんや。けど、湿っぽいのは苦手やし、シフォンを泣かせとうはないやろ。せやから、このことは内緒やで」 「それって、つまり……隠してるってことになるんじゃない?」 「聞かれたら答えるんやから、隠してるんと違うでぇ。あ、そや。リンクルンとクローバーボックス、持って帰るように長老から言われてるんや。せやから、変身するなら今の内やで」 「そう。ラブたちは、普通の女の子に戻るのね……」 「パッションはんもおんなじやんか。もう、プリキュアに変身できんようになるんやで?」 「私は、イースになれるもの。普通の女の子とは言えないわ」 タルトが言うには、リンクルンを回収するのは、それがプリキュアの掟の一つだかららしい。 プリキュアであることを、他人に明かさないこと。平和な世界に、プリキュアの力を残さないこと。 タルトは理由までは判っていないようだったが、これらはきっと、プリキュアとなった少女たちの日常を守るための決まりなのだろう。 人を超える力を持つことは、人を超える義務と責任を負うことでもある。プリキュアの力を残したままで、ラブたちがダンサーやモデルや獣医になれるとは思えなかった。 「なるほど。わいは長老に指示されただけやけど、そうかもしれへんな。現にわいの正体がバレそうになって、大騒ぎになったこともあったしな」 異世界の住人であるタルトが、このまま四つ葉町に留まるのは、お互いにとって決して良いことではない。 どんなに隠したところで、いつかは誰かの目に留まる。この世界に妖精はいない。四つ葉町に限らず、この世界は人間が暮らす世界なのだ。 まして超能力を持つシフォンは、どれほど奇異の目を向けられることだろう。多感な幼児であるシフォンにとって、教育のためにも良いはずがなかった。 自分はどうなのだろう? とせつなは考える。せつなは既に桃園家の家族だ。いなくなれば、間違いなくあゆみたちは悲しむだろう。 せつなが留まることは、家族の幸せになる。それはメリットと考えてもいい。でも……。 『日常が戻る』 本当の意味で、四つ葉町は本来の姿を取り戻す。ラビリンスの襲撃を受ける前の、平凡だけど、あたたかくて穏やかな日々が戻ってくる。 そんな中で、イースの力を宿したせつなが残ることは、どういう意味を持つのか。 何か、大きな危険が迫った時の備えにはなるだろう。それは逆に言えば、この街を、桃園家を、危険に巻き込むことを意味していた。 それに、せつながこの世界に留まれば、ラビリンスや他のパラレルとのパイプも、完全には切れないだろう。 メビウスが滅んだとはいえ、未だに高い文明を誇るラビリンスや、独自の超能力で、個人単位の異世界間移動すら可能とするスウィーツ王国。 そんな特殊な国々に比べて、未発達であるがゆえに平和でもある四つ葉町。この世界を、そっと静かにしておくためには……。 「私も、居ない方がいいのかもしれない」 離れていても、心は繋がっている。私たちは、いつだって四人。 そんな言葉を、心の中でそっとつぶやく。 チクリと胸が痛む。別れは絆を断つことではない。ただ、会いたい人に、会えなくなってしまうだけ。 この街の人たちと、一緒に幸せになると誓った。だけど、それはこの街の人たちと、一緒にいることが幸せだという意味ではないはずだ。 (ラビリンスに戻ろう。ダンス大会が終わったら、結果がどうなろうとも……) せつなはタルトにだけ決意を伝えて、そのまま自分の部屋に戻った。 そこから先の、その日の出来事は何も記憶に残らなかった。料理の味も、自分がどんな表情をしていたのかすらも……。 そして、ついにダンス大会の日が訪れた。 赤い翼の輪舞曲――新たなる戦い(前編)――へ続く
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/845.html
風がビリビリとガラスを震わせ、大粒の雨が忙しなく窓を叩く。 耳の奥でごうごうと響く海鳴り。 何故こんなに耳元で大きく響くのか、とぼんやり考えるせつなはふと気が付いた。 これは海鳴りではなく、二人の体を流れる血潮の音なのだ、と。 「あぁぁ…っ、ラブ、ラブっ…!!」 「ごめん。ごめんね、せつな…」 閉じた幼い肉体を無理やり抉じ開けられ、その中を食い荒らされる。 熱く、柔らかく、蕩けるような甘い苦痛と、逃げたしたくなるような鋭く突き刺さる快楽。 痛み、快感、未知の刺激に押し流されまいとせつなは必死にラブにしがみ付く。 目も頭も使い物にならないほど霞んでいた。 それでも手探りでお互いの滑らかな肢体をまさぐり続ける。 柔らかく乳房が潰れ合い、興奮に充血した蕾への快感に、 どちらからとも付かない甘い悲鳴が上がる。 「あっ、あっ、あっ、あっ、やっ…ラブっ!離れないで……」 「待ってね…せつな、すぐだから……」 重ね合っていた肌を離され、せつなはラブに縋り付く。 体を起こしたラブはより深く感じ合う為にお互いの一番奥を絡みつかせて来た。 ぬるり、と舐め合うような感触に裸身の全てが総毛立つ。 繋がった場所を軽く前後させただけでガクガクと腰が砕けそうだった。 「ーーーーッッ!……んぅ…はっ、あん…っ」 身を捩り、悶えるせつなを押さえ込み、ラブはゆるゆると腰を使う。 現実味が無いほど整った、人形のように端正なせつなの顔。 今は涙に歪み、時折惚けたような表情さえ見せている。 爛れた愛欲には無縁だった清らかな体にはラブの欲望の残滓が淫らな模様を描いている。 初めて知る感覚。快感と呼ぶには激し過ぎ、苦痛と呼ぶには甘過ぎる。 見えない力で腰の奥から揺さぶられるような浮遊感。 まるで体がゆるく固めたゼリーになってしまったようだった。 達する。と言う言葉も知らぬまま、せつなの意識は何度も火花を散らし、 その明かりが消える間もなく新たな火種がくべられてゆく。 やがてその光はだんだん大きくなり、せつなも、ラブも部屋全体まで飲み込むほどに膨れ上がる。 目の眩むような熱と目映さに呼吸すら忘れそうになり。 そして、それは弾け、砕け散りながら暗闇に吸い込まれてゆく。 苦痛さえ甘美な嵐の中、せつなの意識は幾度となく波間へ投げ出され、 やがて温かな水底へ沈み込んで行った。 しとしとと密やかに囁く雨音の中でせつなは目を覚ました。 唸るような風は成りを潜め、時折サワサワと静かに濡れた木々を揺らしている。 ふと心細さを感じ、せつなは自分を抱き締める。 傍らで温もりを分け合っていたはずの半身はどこへ行ったのだろう。 一糸纏わぬ姿で眠ったはずなのに、今は余り肌触りが良いとは言えない パジャマの上だけを身につけていた。 (……ラブ…どこ…?) 不安に胸が締め付けられる。 ベッドにはまだ二人分の体温が残っている。 一人切りの寝覚めがこんなにも居心地が悪いなんて思った事はなかった。 まるで、夕べの事はすべて夢。そう言われているようで。 「あっ、せつなぁ、起きたの?」 不安と心細さに泣きたくなっていたところへラブがひょっこり顔を覗かせた。 屈託のない晴れやかな笑顔。歌うように弾む朗らかな声。 いつものラブだ。 躊躇いがちに掠れた声でもなく。 嵐を飲み込んだように戦慄く瞳でもない。 いつもの、元気な可愛いラブ。 「まだ外暗いよ。もっと寝てても良いのに。あっ、今お風呂入れてるからね。」 ニコニコと細められた目。愛らしく口角を上げた唇。まるで、何事も無かったような。 せつなの胸の奥がぎゅっと引き絞られる。 昨日とは逆。今度はせつながラブの目を見られない。 力無く目を伏せ、視線を落とす。 その瞳に飛び込んで来るのは自分の素肌。 白い肌を彩る鮮やかな花弁。ずきりと痛む体の中。 細胞のすべてが叫んでいる。 夢などではない、と。 でも、ラブは。 ラブは、無かった事にしてしまいたいのだろうか。 突如舞い降りた偶然に嘘を被せ、嵐に身を委ねる言い訳にした。 一夜限りの。一夜限りだからこそ、飛び込む事の出来た嵐だったのだろうか。 パジャマの襟を握り締め、滲みそうになる涙を堪える。 求められたのは夢の中の事だったのだ。 ずっと続く夢などありはしない。 これでいい。もう温もりは体の一部として溶け込んでいるのだから。 この温かさを抱いて生きて行けばいい。それで何一つ、失うものもない。 これ以上の幸せは夢見る事すらおこがましい。 泣いてはいけない。ラブが笑っているのだから。 ラブがそう決めたなら…… 「せつな。何考えてるの?」 「……別に、何も…」 「ウソ。」 隣に座り、体を寄せてくる。 首筋にラブの唇の気配。うなじをくすぐる吐息に体の奥のこごった澱が溶け出す。 昨日までは知らなかった感覚。 せつなは自分の体に棲みついた欲望におののいた。 暴れ狂うような嵐の記憶。 心が宥めようとしても体が叫んでいる。 もう、無理だと。 こんな物を抱えて、一人で生きて行けるはずがない。 「あのね。どうしてそうなるかなあ。」 自分自身を抱き締めたまま硬く身を縮めているせつなにラブは呆れたように溜め息をつく。 子供をあやす仕草で頭を撫でられ、せつなは恐る恐る顔を上げた。 覗き込んでくる瞳。その奥にあるのは、慈しみ、この上なく大切な物を愛しむ凪いだ海。 力が、抜けた。強張っていたのは数分にも満たないだろう。 それなのに魔法が解けるように緊張から解き放たれた心と体はぐずぐずと奇妙な音を立てて崩れる。 「困った癖だと思うんだよねぇ。」 首に腕を回し、泣きじゃくり始めたせつなをよしよしと宥めながらラブは呟く。 「……何が、よ…。どして、何でも分かってるって顔してるのよ…」 ほんの少し強がる余裕が出てきたせつな。 まだがっしりとしがみ付いたままの姿では迫力も何もあったものではない。 格好悪いと思いつつも、耳に滑り込むラブの声が心地好すぎて離れる気になれない。 「いっつも咄嗟に考えるのは一番嫌な事。」 一番悲しい事。 一番辛い事。 一番起こって欲しくない事。 せつなが、一番考えたくないような結果。 いつも真っ先にそれを考える。 期待しないように、癖になってる。 最初から何も持たなければ失う物など無いから。 手に入れ、胸に取り込んだ後に毟り取られるのは痛すぎるから。 「ごめんね。こんなに早く目を覚ますと思わなくてさ。」 一人ぼっちで目を覚ますなんて寂しかったよね。 不安にさせちゃったんだよね。 ずっと抱き締めてれば良かった。 心の中を撫でられながら、せつなはラブの胸で甘える。 こんなにも心を覗かせていたのかと恥ずかしくなりながらも。 いつからこんなに無防備になってしまったのか。 少し前までは考えを読まれるなんて屈辱でしかなかったのに。 安堵に少し緩んだせつなの腕をほどき、顎に指を掛ける。 濡れた睫毛にまだたっぷりと潤んだ瞳。 ラブは未だに信じられない面持ちで、手に入れたばかりの恋人を見つめる。 涙に潤んだせつなは、まるで朝露を含んだ大輪の花のようだ。と、 柄にもなく照れくさい形容を思い付く。 せつなは世界で一番綺麗。昨日までずっとそう思って来たけど、今日は昨日の何倍も綺麗に見える。 この調子で行ったら、一週間もすれば宇宙の単位を超えてしまいそうだ。 そんな馬鹿馬鹿しい事を真剣に考えているのが、なぜか可笑しいとは感じない。 「これが恋は盲目ってヤツなのかなぁ…」 「…?…なにが?」 「笑うから言わない。」 「笑うも何も意味が分からないんだけど…」 「…せつなが可愛すぎてどうしようって意味だよ…」 「ーーー!」 カアッと一瞬で頬を朱に染め上げたせつなが思わず顔を背けようと身を捩る。 そこへ、ふんわりと唇を被せるような柔らかい口付け。 始まりの、息せき切って噛み付き合うような拙い口付けとは違う。 お互いを求める事を誓い合った者同士の、ゆったりと甘い秘め事。 ベッドに倒れ込み、それぞれの指で相手の輪郭を辿ってゆく。 そこにある肉体の質感を確かめるように。 温もりにうっとりと酔い痴れながら、ラブは一人胸に忍ばせていた思いを反芻する。 本当は、せつなの不安は間違っていなかった。 これっきりにしよう。そう思い、抱いたのだから。 一晩だけ。思い切り、気の狂うほど愛して、求め合って。 泣いて、泣かせて、一つになるまで蕩け果てて。 気の済むまで抱き合ったら。朝になったらすべて忘れよう。忘れて、友達に戻る。 心行くまで想いを遂げれば、きっときっぱり諦められる。 そう出来ると思ってしまった。 「………無理に、決まってる……」 「…………ラブ……?」 「好きだよ、せつな…」 「…私も…好き。好きよ……」 好き。好きだよ。好きよ。大好き。 離れられる訳がない。 こうなる事は分かっていたはずだ。 だから、壁一枚隔てた場所にいながら手すら握らなかったのに。 不意にふれあう指先にさえ、我を忘れそうなほどお互いを欲していた。 一度向き合い、その瞳にお互いの想いを映し合ってしまえば…。 触れるのを堪えられるはずはなかった。 触れ合ってしまえば、より深く求め合う事を止められない。 求め合ってしまえば、もう、戻る道は消え失せてしまう。 分かりきっていた。 それなのに、降って湧いた偶然を知らぬ振りなんて出来なかった。 神様が落としてくれたかのような奇跡に、あらがう術などあるはずがない。 気の触れそうなほどにもがいていた想いが、たった一晩の夢で終わる。 そんなあり得ない誘惑を囁く愚かな魔物に捕まってしまった。 「…っあ、ーっあぁ…ラ…ブ…んっ、つっ…」 「…ごめん、ごめんね…」 ごめんね、せつな。 夜明けまでもう少し。 一晩中貪り尽くしながら、欲望を刻んだ体。 もう一度愛でるように味わいながら、ラブはせつなに何度も謝る。 ごめんね。あたし、本当は諦めようとしてた。想いを捨てようとしてた。 でも無理だったよ。せつなから離れるなんて。 せつなが、他の誰かのものになる。そんなの、考えただけでおかしくなりそうなのに。 せつなは、それでも丸ごと全部受け入れようとしてくれてたんだよね。 何も言わずに着いてきて、それで、あたしが何かしてもしなくても…黙って… 黙ってあたしの好きに出来るように。 きっとせつなにはあたしが何考えてるかなんてお見通しだったよね。 だから、起きてすぐあたしを見て辛くなったんだよね。 辛くて、笑おうとしても笑えなくて。 せつな、あたしすごく嬉しかった。 だって、いつものせつななら絶対笑うのに。辛くても、悲しくても、自分の気持ちより いつでもあたしを優先しようとしてたでしょ? でも…せつな、泣きそうになってた。 あたしと離れたくないんだ、って。 それが分かって、あたし叫びそうなくらい嬉しかったんだ。 だから 許してね、せつな。 ほんの一瞬でも、一度繋いだ手を離そうとしてしまった事を。 でもね。嵐の中で抱き合いながら、あたし覚悟決めたから。 ううん、覚悟じゃなくて…当たり前の事を確認しただけかな。 もうぜったいに離さない。せつなが嫌だって言ったって逃がさない。 ずっとずっと、数えきれないくらいの夜明けをせつなと過ごす。 それ以外の生き方なんていらないから。 せつな。あたし、この事はせつなに言わないよ。 黙ってあたしのすべてを、せつなを捨てようとした事まで受け止めてくれたせつなに 負担に思って欲しくないからね。 あたしがせつなの為に何かを犠牲にしてるなんて感じて欲しくないから。 だから、これから囁くのはこれだけ。 貴女だけを愛していきます。 ずっと感じていて欲しいから。 いじらしいほど一途にラブの存在を求めてくる腕。 瑞々しい肌をお互いの自由にさせながら、これを無かった事に出来るなんて 驕っていた自分は底無しの愚か者だと思った。 逃げられない。逃がさない。 手を繋いだ瞬間から運命は決まっていたのに。 乱れた呼吸を静めながら、ぴったりと肌を寄せ合う。 もう風も雨も止み、夜も明けているだろう。 どれほど溶け合ってもまだまだ足りる気がしない。 白らんでいく空が少し恨めしい気さえする。 いくらなんでも、もう帰る支度をしなければならない。 分かっていても、あと少しだけ。そう、未練がましくぐずぐずと 汗ばんだ肌を押し付けあっていた。 「…せつな、どうしたの……?」 無心に体を絡め合っていたせつなが、ふと窓に視線を移す。 そのまま魅入られたように窓を見つめ、呟く。 「…見て。ラブ、すごい……」 「……?」 言われるままに、せつなの瞳の先を追う。 そして、息を飲んだ。 ベッドから滑り降り窓を開ける。 雨の名残を含んだ湿った風が髪を梳きながら通り抜けて行った。 そこにあるのは嵐の余韻を残しながらも、晴天へと向かってゆく朝焼けの空だった。 まだ雲は灰白く霞み、海は波高く白い飛沫を空に投げ付けている。 しかし、生まれたての太陽を胸に抱いた雲はその腕の隙間から幾筋もの光を溢し、 その輝きは空を不規則な銀色に煌めかせている。 海はその光の帯を求めるが如く、低く高く波を差し伸べていた。 飛び散るしぶきは煌めきを潜り抜けると耀く小さな宝石となって また海へと溶け込んで行く。 天高く突き抜けるような晴れやかな青空ではない。 どこまでも続く澄みわたった紺碧の海でもない。 しかしそれは紛れもなく、蒼穹へと続くであろう、嵐の後の奇跡。 嵐の晴天の間。ほんの一時にしか巡り会えない神々しいまでの一幅の絵のようだった。 二人でなら。 光の割合を刻々と増やしてゆく空に心を奪われながら、ラブは考える。 二人でなら、この奇跡の空のように歩いて行ける。 青空がなくても。嵐の海でも。ずっと手を繋いで。 奇跡の空を潜り抜けた二人なら。 いつか必ず誰も見たことのないような美しい景色に辿り着ける。 そう、心から思えるから。 最初から、悩み、迷う必要など何もないではないか。 ただ、目の前の奇跡を信じればいいだけなのだ。 曇りを祓う陽光の笑顔でラブはせつなに向き合う。 「帰ろっか。お家に。」 もう、ひっそりと手を繋ぐような事はしなくてもいい。 一つに溶け合った心と体は、いつでもすぐそばにあるのだから。
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/437.html
誰にも邪魔されない、二人だけの時を。 人差し指で塞いだせつなの唇。ラブはそっと撫で、柔らかさを確認する。 せつなは唇に触れたラブの指を愛おしく、ゆっくりと舌先で転がしながら口に含む。 見詰め合う二人に、言葉など必要なかった。 そっと指を引き抜き、ラブはそれを自分の口へと運ぶ。 居た堪れない感情が襲ってくる。目の前には悪戯に微笑む彼女がいるのだから。 「……しよ?」 ほんの数分の出来事なのに、せつなにはそれが永遠の至福のように思えた。 やっと一緒になれる。本当の幸せを掴み取れるのだと。 愛してる――――ラブ。 小さく頷くとせつなはゆっくりと瞳を閉じた。 重ねる唇。互いの舌と舌とが絡み合う。唇の端からは溢れる唾液。 まるで赤子のような二人だけれど。 恥ずかしさより、今は愛し愛される喜びで満ち溢れていた。 「ん...う...んん.....」 初めて味わう感情。 熱くなるカラダ。 溶けてしまいそうな程の愛。 「もっと……。もっと…、愛して欲しい…。」 「立てる?」 「……。」 ラブは私を優しく抱きしめてくれた。こんな時でも優しくしてくれる。 そう思うだけで、私の中の何かが――――熱くなるのがわかった。 せつなのカラダは、とても女性らしくて。 すごく…魅力的で。 もっと見てみたいなって……思った。 あたしって…、こんなにHだったかな? そうさせるせつなもHなんだろうけど。 今の二人には理性のカケラなんてない。 だって、ここはお風呂場なんだもん。 普通じゃ考えられないんだろうなって。 「キレイだよせつな。」 形の良い胸に初めて触れる。柔らかな感触。その中にある頂きは、既に突起していて。 手で触れるだけでは満足出来ずに――― 「ぁ...ん」 「ダメだよせつな、声出しちゃ。」 「で、で…も……んっ」 かわいいせつな。 大好きなせつな。 ―――私だけのせつな。 漏れる声すら愛おしく。唇でそれを塞いでも尚零れる吐息。 左手は胸を。 右手は秘部を。 あたしだけが触れる事を許された。 ―――恋人だから――― 初めて自分以外の人に触れられる感触。 それが誰よりも愛しているラブ、あなたなら。 私はシャワーのレバーを引くと、目一杯の水流に調整した。 「…これなら、聞こえない…でしょ?」 立つ事さえままならぬ状態の私には、これぐらいしか思い付かなくて。 「…せつな。しっかりつかまってて。」 「……わかった。」 秘部にすんなり入っていく指には絡みつく愛液。 それは、シャワーの水とはまた違う濡れ方で。 いやらしくちゅくちゅくと音を立てるが、その割れ目が奏でる音を聞けるのは 目の前にいるラブだけ。 さらに、割れ目の先端にある突起を集中して刺激する。指だけでなく舌先でも。 繰り返される動きにもはや意識も薄れかけ。 「っん―――!ぁ…あ、ぁぁぁぁぁぁ――――!!!」 「イっていいよ?イイんだよっせつな!」 「ぅん―――!はぅ…、も、もぅ―!」 「好き!愛してるせつな!!」 「あぁぁ!ふぁっ――、い、いっちゃ……――――――!!!」 崩れ落ちるせつな。 優しく包み込むラブ。 キュッ、とシャワーのレバーを元に戻すと再び見詰め合う二人。 「はぁ…、はぁ……。……ん」 「…Hだね、あたしたち…」 鏡に映る二人はびしょ濡れで。まるで夢の跡のような光景に思わず苦笑い。 「また…しようね。」 「……ラブ。」 「何?せつな。」 「今度は私が………、してあげたいの…。」 「でも、せつなのぼせちゃうよ。」 「嫌っ!私だけ…。一人だけなんて……」 「……せつな。」 こんなにも好きな人と、愛してる人と一緒になれるのが嬉しい事だなんて。 優しくて温かくていつも素直なラブ。 なのに――― 「私、間違ってたのかも。」 ~続く~ 6-904で完結です。 6-732ラブ視点で描くエピソード1 6-819せつな視点で描くエピソード2
https://w.atwiki.jp/fleshyuri/pages/922.html
【1月1日】 『今年の抱負?』 四人 『みんな、あけましておめでとう!』 ラブ 「今年も、幸せゲットだよ!」 美希 「もしかして、それが今年の抱負?」 ラブ 「そうだよ」 美希 「それじゃ、具体的な行動目標が全然ないじゃない」 ラブ 「じゃ、美希たんは何なの?」 美希 「アタシはね、今年も完璧でありたいかな」 ラブ 「美希たんも一緒じゃん……。せつなとブッキーは?」 せつな「みんなが幸せでいられるように、精一杯がんばるわ」 祈里 「みんなの抱負が実現するって、わたし、信じてる」 ラ美せ(ブッキーだけは絶対抱負じゃない……) 【1月2日】 『お正月』 せつな「お正月って、おせち食べたり初詣に行ったり、なんだかとっても楽しいわ」 ラブ 「そうだね! おせちにお雑煮。お鍋に焼餅。ケーキにドーナツ。こたつでみかん!」 祈里 「ラブちゃん食べ物ばっかり」 美希 「どうしてピルンに選ばれたのか、わかる気がするわね」 せつな「美希とブッキーはどう過ごすの?」 美希 「そうね、正月と言えば振袖を着るのが楽しみかな」 祈里 「一月一日は神の母聖マリアの祝日。ミサがあるの」 せつな「私って個性がないのかしら……」 【1月3日】 『フレシュ?』 キュアピーチ「ピンクのハートは愛ある印! もぎたてフレッシュ! キュアピーチ!!」 せつな「なんで食べ物の名前のプリキュアなのかしら?」 美希 「ラブが最初に変身したからじゃ?」 ラブ 「また……何でもあたしのせいにする……」 祈里 「美味しく食べられちゃいそうな名前よね」 ラ美せ『笑えないから……』 【1月4日】 『着物』 美希 「今日は着物を着て初詣に行くの。とっても楽しみ」 せつな「私も晴れ着を作ってもらったの。わくわくするわ」 ラブ 「せつなって黒髪で色白だから、着物が超似合うよね」 祈里 「わたしはちょっと小柄だから、あんまり似合わないかも」 ラ美せ(七五三みたいで可愛いなんて言えない……) 【1月5日】 『年賀状』 祈里 「毎年、いろいろな人から年賀状が届くのが楽しいわ」 せつな「私もいっぱいきてびっくりしたわ。でも、ラブはもっと凄かったの」 ラブ 「あはは、年賀状だけでお小遣いなくなりそう」 美希 「アタシも数は凄いんだけど、業界関係者が多いのよね。ちょっと寂しいかな」 【1月6日】 『正月太り』 ラブ 「お正月のごちそう、毎日食べ過ぎちゃったよ」 せつな「私も……。ついラブにつられて食べちゃうのよね」 ラブ 「また、あたしのせいにする……」 美希 「アタシは完璧! じゃないかも……」 祈里 「わたしも、ちょっと太っちゃったかも」 ミユキ「それは大変ね! みんな、ダンスするわよ!」 四人 『ハイッ!』(でも、どこから出て来たんだろう……) 【1月7日】 『春の七草』 ミユキ「今日は七草粥の日。お粥を食べる日なのよ」 ラブ 「せりなずなごぎょうはこ、あぐっ、舌噛んじゃったよ」 美希 「早口言葉じゃないんだから……」 祈里 「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろの七種類ね」 せつな「せりくらいしか知らないわ。珍しいものを食べる日なのね」 カオルちゃん「本日限定、七草入りドーナツもよろしくね! ぐはっ」 全員 『さすがにそれは美味しくなさそう……』 【1月8日】 『やっぱり』 タルト「凧あげってムチャクチャおもろいなぁ~。寒いの忘れるわ」 シフォン「キュア、キュア!」 タルト「ん? もっと高く上がるかって? よっしゃ、見といてやシフォン!」 ラブ 「タルト! あんまり無理すると」 タルト「あわわっ、わいまで飛んでしもた! 誰か助けてや~~」 四人 『やると思った……』 【1月9日】 『カオルちゃんです!』 カオルちゃん「おせちに飽きたらドーナツもね! ぐはっ!」 せつな「ほんとうに美味しい」 ラブ 「カオルちゃんのドーナツは飽きないよね」 カオルちゃん「整いました!」 美祈 「「今日は○コロンなんだ……」」 カオルちゃん「ドーナツの人気とかけまして、おじさんのジョークと解きます」 四人 『その心は?』 カオルちゃん「落ちない。な~んてね、ぐはっ」 四人 『本当に笑えない……』 【1月10日】 『みんなの人気』 せつな「ラブ、今日はプリキュアの日ね!」 ラブ「うん! みんなも楽しんでね!」 近所の子「みんな~プリキュアごっこしよう!」 近所の子「わたしはぶろっさむ! お姉ちゃんはむーんらいとね!」 近所の子「遅れてるぅ~。これからはスイートプリキュアよ!」 祈里「子供たちの人気って……」 美希「残酷よね……」 避2-532へ